不妊の原因とは?|体と心の両面から考える妊娠しにくさの背景

「赤ちゃんが欲しい」と願っているのに、なかなか妊娠しない——そんな悩みを抱えるカップルは年々増えています。現在では、夫婦のおよそ6組に1組が不妊の悩みを抱えているといわれていますが、その「不妊の原因」がどこにあるのかを正しく知ることは、とても大切な第一歩です。
この記事では、女性側・男性側それぞれの身体的な要因から、生活習慣・年齢・ストレスなどの心理的要因まで、不妊の原因を幅広く解説します。
そもそも「不妊」とは?どんな状態を指す?
医学的には、「不妊」とは、避妊をせずに1年以上妊娠を希望していても妊娠しない状態を指します。ただし、年齢や健康状態によっては、半年経過した時点での受診がすすめられることもあります。
不妊の背景にはさまざまな原因があり、それは必ずしも女性側だけの問題ではありません。むしろ、最近では男性側に原因があるケースも多く、「夫婦ふたりで向き合う問題」として捉えることが重要です。
女性に多い不妊の原因
女性の不妊原因は、大きく分けて「排卵の異常」「卵管の異常」「子宮の異常」「加齢」などがあります。
排卵障害(ホルモンバランスの乱れ)
排卵が不規則だったり、まったく起こらなかったりする状態です。主な原因は、ホルモンバランスの乱れによるもので、以下のような疾患や状態が関係しています。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 高プロラクチン血症
- 甲状腺機能異常
- 極端なダイエット・過度なストレス
月経が不規則な人や無月経の人は、排卵障害の可能性があるため、婦人科での検査が勧められます。
卵管因子(卵管の詰まり・癒着)
卵管は、排卵された卵子と精子が出会う「受精の場」であり、受精卵を子宮へと運ぶ重要な役割を担っています。以下のような原因で卵管が詰まったり、狭くなったりすることで、妊娠が難しくなることがあります。
- クラミジアなどの感染症
- 子宮外妊娠の既往
- 腹部の手術歴(盲腸・帝王切開など)
卵管造影検査によって状態を調べることができます。
子宮因子(子宮内膜症・筋腫・奇形など)
受精卵が着床する「子宮」に異常があると、着床がうまくいかない・妊娠が継続しにくいといった問題が起こることがあります。
- 子宮筋腫(特に内膜に影響を及ぼすタイプ)
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮内膜症
- 子宮奇形
症状がなくても、内診や超音波検査で見つかることがあります。
加齢(卵子の老化)
女性の年齢とともに、卵子の数と質は確実に低下していきます。特に35歳を過ぎると妊娠率が下がり、流産率が高まる傾向にあるため、早めの行動が重要です。
男性に多い不妊の原因
不妊の原因の約4割は男性側にあるといわれています。精子の量や運動率などの「精液の質」が重要な指標となり、以下のような要因が関係しています。
造精機能障害(精子の数や運動率の低下)
最も多い男性不妊の原因で、精子の数が少なかったり、動きが悪かったりする状態です。原因には以下が含まれます。
- 加齢
- 喫煙・飲酒
- 肥満・ストレス
- 精索静脈瘤
- ホルモン異常
精路通過障害(精子がうまく出てこない)
精子を運ぶ通り道が塞がっている状態で、射精しても精子が含まれていないことがあります。過去の感染症や手術の影響が関係することもあります。
性機能障害(勃起障害・射精障害など)
性的なトラブルも妊娠の妨げになることがあります。プレッシャーやストレスによる「心因性ED」や、糖尿病・高血圧などの持病が関係するケースもあります。
男女共通で影響する要因
不妊の原因には、男女どちらにも関係する「共通の要因」も多くあります。以下のような生活習慣や体の状態が、妊娠力(妊娠するための力)に影響を与えることがあります。
過度なストレス
ストレスはホルモンバランスに悪影響を与えます。女性では排卵障害、男性では精子の質の低下につながる可能性があり、「妊娠したい」という強い気持ちがプレッシャーになることも。
適度な運動や趣味の時間を持つこと、パートナーとのリラックスした時間を意識的に作ることが大切です。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や不規則な食事、過度な飲酒・喫煙、運動不足などは、妊娠しやすい体づくりの妨げになります。特に喫煙は、男女ともに生殖機能に悪影響を与えることがわかっています。
肥満・やせすぎ
BMIが高すぎる・低すぎることは、ホルモンバランスの乱れや排卵障害、男性の精子の質の低下などを引き起こすリスクがあります。栄養バランスの取れた食事と、無理のない体重管理が重要です。
原因不明の不妊もある
検査をしても明確な原因が見つからない「原因不明不妊」は、全体の約1〜2割ほどに見られます。ホルモン・排卵・卵管・精子などに異常がないにもかかわらず、妊娠しないケースです。
この場合も、タイミング法・人工授精・体外受精などの段階的な不妊治療が効果を発揮することがあります。「原因がわからない」と落ち込まず、専門医のサポートを受けながら進めていくことが大切です。
不妊の原因は複雑に絡み合っている
実際には、1つの原因だけでなく、複数の要因が重なって妊娠しづらくなっていることが多くあります。
たとえば、「女性の軽度の排卵障害」と「男性の精子の運動率の低下」が同時に起きていれば、妊娠率は大きく下がる可能性があります。また、ストレスや年齢などの環境要因も、見落とせない大きな影響を与えます。
どのタイミングで病院に行くべき?
妊娠を望んでいるのに1年以上妊娠しない場合は、不妊治療専門の病院や婦人科の受診をおすすめします。ただし、以下のようなケースでは「半年」を目安に受診を検討しましょう。
- 女性の年齢が35歳以上
- 月経が不規則、または無月経
- 過去に婦人科の病気がある
- 男性側に既往歴がある
不妊治療の初期は、基礎体温の記録、排卵日の確認、ホルモン検査、精液検査など、比較的シンプルな検査からスタートします。早めの一歩が、未来への安心につながります。
夫婦で支え合いながら進めることが大切
不妊は、誰か一人のせいではありません。女性だけが責任を感じたり、男性が「自分は関係ない」と思ったりするのではなく、夫婦で一緒に向き合っていく姿勢が大切です。
治療の過程では、つらいことや不安なこともあります。でも、そうした気持ちを共有し、支え合える関係こそが、妊活を続けるうえでの力になります。
妊娠しやすい体づくりのためにできること
最後に、不妊の原因を防ぎ、妊娠しやすい体をつくるためのヒントをまとめます。
- ストレスをため込まない生活を意識する
- バランスの良い食事を心がける
- 質の良い睡眠をとる
- 適度な運動で体を整える
- 婦人科で定期的に検査を受ける
すべてを完璧にこなす必要はありませんが、小さなことの積み重ねが、妊娠への大きな一歩になります。
不妊治療に向き合うために大切なこと
不妊の原因や治療法を学ぶことは大切ですが、それと同じくらい重要なのが、「心の準備」と「夫婦の協力体制」です。長期にわたる不妊治療は、身体的な負担だけでなく、精神的・経済的なプレッシャーも伴います。ここでは、治療に入る前に考えておきたい大切なポイントをご紹介します。
1. パートナーとよく話し合う
治療の方針や進め方、どこまでの治療を望むか、費用の負担、仕事との両立などについて、夫婦でしっかり話し合うことが重要です。治療が進んでいくと、どちらかが不安を感じたり、方向性にズレが出てくることもあります。そんなときのためにも、日頃から「率直に話せる関係」を築いておくことが、結果的に治療の継続を支える大きな力になります。
2. 自分のペースを大事にする
周囲の妊娠・出産報告に焦りを感じることもあるかもしれません。でも、「他人と比べない」「今の自分の選択を大事にする」ことが、心の安定につながります。妊活中はどうしても情報を集めすぎてしまいがちですが、あふれる情報の中で迷ったときは、自分の体と心の声を一番に聞いてあげてください。疲れているときには無理せず休むこと、立ち止まることも、前に進むための大切な一歩です。
3. 相談できる医師や専門家を見つける
不妊治療において「信頼できる医師との出会い」はとても大切です。検査結果や治療法の選択について、納得いく説明をしてくれるか、自分の気持ちを尊重してくれるかなども、病院選びの重要なポイントになります。不安や疑問を一人で抱え込まず、遠慮せずに相談できる環境を整えておくと、治療の継続もしやすくなります。
4. 心のケアを忘れずに
不妊治療は心にも負担がかかります。ときには気持ちが沈んだり、涙が出たりする日もあるでしょう。そんな自分を責めないでください。必要であれば、カウンセリングや支援団体のサポートを受けることも選択肢の一つです。心のケアは、体と同じくらい大切にしてほしい部分です。
不妊治療は、「これをすれば必ず妊娠できる」という確実な道があるわけではありません。でも、自分にできることを一つずつ積み重ねていくことが、少しずつ未来への道を照らしてくれます。
まとめ|原因を知ることが妊活の第一歩
不妊にはさまざまな原因があり、それぞれに適した対応が必要です。「自分はどこに問題があるのだろう」と悩む前に、まずは原因を知り、パートナーと一緒に情報を共有することから始めてみましょう。
そして、必要なタイミングで専門の医師に相談し、前向きに妊活を進めていくことが大切です。
妊活中に摂りたい葉酸サプリ
妊娠初期に必要な栄養素をしっかり補いたい方には、葉酸サプリがおすすめ。赤ちゃんの神経管の形成をサポートすると言われています。
妊活中におすすめ排卵日検査薬
排卵検査薬は、排卵の直前に分泌が増える「LH(黄体形成ホルモン)」を尿から検出し、排卵のタイミングを予測するアイテムです。陽性反応が出た日とその翌日が、もっとも妊娠しやすいタイミングとされています。







