【妊娠中に使える薬まとめ】市販薬・処方薬の注意点と安全な選び方

妊娠中は、自分の体だけでなくお腹の赤ちゃんのことも考えて行動する時期。特に風邪や頭痛、アレルギーなどで「薬を飲みたい」と思ったとき、どの薬が使えるのか、赤ちゃんに影響はないのか心配になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、妊娠中でも比較的安全とされる市販薬・処方薬の情報や、注意したい成分・飲み方・医師への相談ポイントなどをわかりやすく解説します。
妊娠中に薬を使うときの基本的な考え方
妊娠中の薬の使用については、「なるべく避けるべき」という考えが基本にあります。しかし、症状がつらいときや放置すると母体に悪影響が出る場合には、必要に応じて安全な薬を使うことも大切です。
薬の影響は妊娠週数によって異なり、特に注意すべき時期は以下の通りです。
- 妊娠4〜7週:器官形成期(胎児の臓器が作られる)で最も影響を受けやすい時期
- 妊娠8〜15週:発達の時期で、神経や骨格の成長が進む
- 妊娠後期:胎盤を通じて薬が赤ちゃんに届きやすくなる
自己判断での服薬は避け、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
妊娠中に使える市販薬|症状別に紹介
市販薬は気軽に手に入りますが、妊婦さん向けに作られたものは少なく、成分をよく確認する必要があります。以下に、一般的に妊娠中でも使用可能とされる市販薬を紹介します。
1. 頭痛・発熱|アセトアミノフェン
妊婦さんに最もよく処方される解熱鎮痛剤です。市販薬では「タイレノールA」「ノーシンピュア」などに含まれています。
- ◯ 使用可能:アセトアミノフェン(例:タイレノールA)
- × 避けたい:ロキソニン、イブプロフェン(妊娠後期は禁忌)
症状が軽い場合はまず休養・水分補給を優先し、薬は最終手段として使いましょう。
2. 鼻水・くしゃみ|抗ヒスタミン薬
アレルギー性鼻炎などでつらい場合、抗ヒスタミン成分のある薬が使用されることもありますが、妊娠初期は特に慎重に選ぶ必要があります。
- △ 使用に注意:クロルフェニラミン(少量で短期間)
- × 避けたい:ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン(動物実験での影響報告あり)
3. のどの痛み・咳|うがい薬・トローチ
のどの炎症には、まずはうがいや加湿でのケアを。症状がつらいときは、刺激の少ないトローチやうがい薬を選びましょう。
- ◯ 使えるもの:塩うがい、ヨード不使用のうがい薬
- × 注意:ヨウ素系うがい薬(イソジンなど)は胎児の甲状腺に影響する可能性あり
市販薬を選ぶときの注意点
妊娠中に薬を購入する際は、以下のポイントをチェックしてください。
- パッケージに「妊婦は医師と相談」とあるものは、必ず医師へ確認
- 1回量・使用頻度・成分名を必ず確認
- ネット購入時は公式サイトや医師監修情報を参考に
市販薬で不安がある場合は、無理に使わず病院で相談するのが一番安心です。
処方薬はどこまで使える?妊婦健診での判断基準
妊娠中でも必要に応じて医師が薬を処方してくれることはあります。処方薬は医師の判断によるため、自己中断や変更はNGです。
処方される薬には「妊婦にも使用実績のある薬」「使用経験が少ないが効果が期待される薬」など複数のカテゴリーがあり、母体と胎児への影響を比較して選ばれます。
特に以下のような処方薬については、妊婦健診の際に必ず相談してください。
- 喘息・アレルギー・皮膚炎の薬
- 便秘薬・胃薬・下痢止め
- 妊娠高血圧・糖尿病治療薬
妊娠中によくある症状と薬の対処法
妊娠中はホルモンバランスや身体の変化により、さまざまな不調が起こりやすくなります。ここでは、よくある症状ごとに使える薬や注意点を解説します。
1. 便秘|食物繊維と緩下剤
妊娠中は黄体ホルモンの影響で腸の動きが鈍くなり、便秘になりがちです。まずは水分・食物繊維・適度な運動を心がけましょう。
- ◯ 比較的安全:酸化マグネシウム(マグミットなど)…腸内で水分を保持し排便を促進
- × 避けたい:刺激性の下剤(センナ・アロエ)…子宮収縮の可能性あり
2. 胃の不快感・胃もたれ|制酸剤・漢方薬
子宮の圧迫やホルモンの影響で胃酸が逆流しやすく、胸やけや胃痛が起こることがあります。
- ◯ 安全とされる:スクラルファート、制酸剤(重曹タイプ)
- △ 必要に応じて:六君子湯などの漢方薬
油っこい食事を控え、食後はすぐに横にならないことも大切です。
3. 風邪症状|妊娠中でも処方される薬
発熱・咳・喉の痛みなど、風邪症状があるときは無理せず休養を取りましょう。症状が続く場合は、妊婦でも使える薬を医師が選んで処方してくれます。
- ◯ 解熱鎮痛:アセトアミノフェン
- ◯ 咳止め:麦門冬湯、ジメモルファンなど
- ◯ 去痰薬:アンブロキソール塩酸塩
市販薬よりも、処方薬の方が成分や用量が明確で安心です。
4. アレルギー症状|妊娠後期は特に注意
花粉症やアトピーなどの持病がある方は、妊娠中も継続して症状が出ることがあります。
長期的に薬を使う場合は、妊娠前の薬をそのまま続けていいかを確認しましょう。
- △ 比較的安全:ロラタジン、セチリジン(必要最小限)
- × 注意:フェキソフェナジン、デスロラタジン(後期は胎児への移行あり)
妊娠中は避けたい薬・成分一覧
妊娠中に使用を避けるべき薬には明確なガイドラインがあります。特に以下のような成分は胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるため、使用を控えましょう。
| 成分名 | 使用理由 |
|---|---|
| ロキソプロフェン | 胎児動脈管収縮・腎障害のリスク |
| イブプロフェン | 妊娠後期に使用で心臓・腎臓に影響 |
| アセスルファムK(甘味料) | 胎児の成長リスクが一部報告 |
| 抗菌薬の一部(テトラサイクリン系など) | 歯牙の形成不全や骨への影響 |
薬以外のセルフケアも大切に
妊娠中の不調は薬だけでなく、生活習慣やセルフケアで軽減できることも多いです。以下のポイントも併せて取り入れてみましょう。
- こまめな水分補給(便秘・のどの乾燥に効果)
- 温かい食事や白湯で体を冷やさない
- 軽いストレッチや散歩(血流・腸の動きを促進)
- 質のよい睡眠(ホルモンバランスの安定につながる)
医師に相談するときのポイント
妊娠中の診察では、服用中のサプリや市販薬、体調の変化をきちんと伝えることが大切です。
診察の際は以下の情報をまとめておくとスムーズです。
- いつからどんな症状があるか
- 飲んだ薬の名前・回数・タイミング
- 過去に副作用が出た薬があるか
診察前にメモを用意しておくと、不安が軽減されるでしょう。
妊娠中の「薬との向き合い方」を見直してみよう
薬に頼ることが悪いことのように思えるかもしれませんが、妊娠中だからこそ「体調を整える」「無理をしない」ことが大切です。薬の使用を過度に怖がってしまい、つらい症状を我慢し続けると、ストレスや体力の低下を招き、かえって赤ちゃんにとっても良い環境とは言えなくなることもあります。
また、「自己判断で飲まない」ことが基本ではありますが、一方で「相談する先がない」「忙しくて病院に行けない」など、現実的なハードルがある方も多いのではないでしょうか。そんなときは、かかりつけの産婦人科に電話で相談したり、薬剤師さんに成分の安全性を尋ねたりするだけでも、安心して選択することができます。
まとめ|不調はがまんせず、正しく薬と付き合おう
妊娠中は赤ちゃんへの影響が気になって、薬の使用に慎重になりがちです。確かに、不必要な服薬は避けるべきですが、つらい症状を放置することの方がリスクになる場合もあります。
市販薬も処方薬も、「妊娠中でも使える成分」を理解し、医師・薬剤師に相談しながら安心して使うことが、ママと赤ちゃんの健康を守る第一歩です。
もし薬のことや不調で悩んだときは、ひとりで我慢せず、早めに専門機関を頼ってくださいね。
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